2007年5月4日金曜日
中通島 その1
長崎は日本で最も島の数が多い県である。島旅ごころを
くすぐられる場所である。
昨年初秋に五島に渡った。行きは九州商船のジェットフォイル、
帰りはORCのターボプロップ機である。
中通島は今も静かな祈りの島である。この冬漏電によって
焼失してしまった江袋教会も、この時にはその端麗な姿を
見ることができた。
米山、津和崎まで行って目につくのはキリスト教徒の集落と
仏教徒の集落の構造の違いである。キリスト教徒の集落は
道路から見ても目立たたず、急坂の途中にへばりつく様に
疎らに家が建てられている。また船隠、猪ノ浦や焼崎などは
今でこそ道があるが、かつては確かに船しか交通手段が
無かったと実感される土地である。
もともと仏教徒の島に、後から崩れを逃れてたどり着いた
彼杵の切支丹たちには、こうした場所しか残されていな
かったという。その強靭な精神の力に改めて感嘆する。
そしてそれは今から数世代と離れていない頃の話なのである。
こうした小さな教会も、高齢化で維持が困難となっている
所が多いと聞く。建物が残ったとしても、野崎島の野首
天主堂のように虚しい痕跡を晒す外ない。人間の輪によって
支えられている文化遺産を、次の世代に受け継ぐ手立ては
無いものだろうか。
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