2007年3月28日水曜日

ハイジのブランコ その2


高校物理で習う振子振動の式は、振幅が小さい場合の近似式である。
ハイジのブランコのこぎ方は、この式にはそぐわない。
ブランコの長さを求めるためには、第一種完全楕円積分
用いるべきである。その場合、振幅角が必要となる。

仮定として、OPで最大振幅となったシーンは、ブランコ振動面に
対し垂直で、正確に水平方向を向いているとしよう。
(それに近いレイアウト設定だと思う)
このとき、25インチモニタで測定した長さでは
ブランコ綱からなる斜辺(モニタ端まで)が344mm、ブランコから
水平方向にモニタ端までが325mmであった。
これよりcos-1(325/344)=19.1度、よって振幅角は
90.0-19.1=70.9度である

テイラー展開した( )の中はθ=70.9度として
第2項が0.084098、第3項が0.015913、第4項が0.003717
第5項が0.000957、第6項が0.000261、第7項が0.000074
…となり、足し合わせて約1.105である。
これからLを求めるには
L=g(T/(2π×1.11))2
において、改めてg=9.80、T=8.66を代入する。
得られた結果は
L=15.1m
となる。より確実には有効数字2ケタ、15mであろう。
いずれにせよ言説の27mに対し、その6割に満たない。

あるある大事典の問題ではないが、自分で真偽を確認する事なく
物事を鵜呑みにして流用する怖さが、まざまざと見えてくる。
色々な場面で同様な事例が存在しているのだろう。

追記
現実とフィクションのごった煮は宜しくないというお叱りもあるだろう。
それは甘んじて受け容れるが、その上で言わせてもらいたい。
スタッフが制作前にロケハンを敢行した事実を、忘れてはならない。
高畑、宮崎らが人間ドラマを確固たるものにする手段として、
リアリズムを追究した事を貶めてはいけない。

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