2007年3月28日水曜日
ハイジのブランコ その1
WebではハイジOPのブランコの長さが27mであるという出所不明の
言説が、繰り返し無批判的に引用されている。
果たして本当だろうか。検証してみる。
まず有効数字であるが、フィルムのコマ数を数えない限り、
3ケタはかなり厳しい。当方はその環境にないのでビデオ資料で
ストップウォッチ計測である。2ケタを前提として、出来るだけ
3ケタ計測となるように試みる。
次に重力加速度である。
それらしき場所として、Maienfeld北東のHeidihütteとする。
(場所はスイス政府地形図部門のオンライン地図参照)
緯度はマップクエストで
北緯47.02度(東経9.545度)と推定される。
Heidihütteの高度は1113mである。
緯度から標準重力を求める式は、日本測地学会のweb教科書に
載っている。これにψ=47.02度を代入すると、重力加速度は
9.808ms-2となる。
高度補正係数は0.3086mGal/mであり、標高1113mでは
-0.3435Gal=-3.435×10-3ms-2
ブーゲー異常は資料のFig3.1から
-105mGal=-1.05×10-3ms-2
補正後の重力加速度は、
9.808-0.003435-0.00105=9.804ms-2
有効数字3ケタだと9.80ms-2である。
ビデオからの計測によると、ブランコ1/2周期に要する時間は
4.33秒である。有効数字2ケタ(4.3秒)だとかなり信頼性は高い。
無論、カットの繋がりにタイムラグが無いと仮定しての話であるが、
それを否定すると、長さの議論はできなくなってしまう。
Webの言説はこの時間を6秒としている。ここで大幅に
長さが違ってくるはずである。
振子振動の式、L=g(T/(2π))2にg=9.80、T=8.66を代入し
L=18.6m となる。
しかしこの答えは正しくない。
[5/4追記] Webでの言説は柳田理科雄氏の著作に拠る所が
大きいようだ。氏の姿勢に疑問を感じざるを得ない。
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